
未経験でIT業界に入りたいと考えています。
SNS界隈では自社開発のWebエンジニアが人気で、SESエンジニアはならない方が良いと聞く。
しかし、そもそもIT業界の構造がどうなっているのかよく分からないので、その情報が正しいかどうかが判断できない。
IT業界の構造を知りたい。そして、自分にとって向いているポジションはどこかを知りたい。
新卒でSES企業に入った現役のエンジニアです。
SESで消耗しているので抜け出したいのだけど、どうすれば抜け出せるのか分からない。
年収も頭打ちになってきていて、入社前に考えていたイメージとだいぶずれてきた。
このままだと負け組みになりそう。IT業界で勝ち組になる方法を知りたい。

そう悩むあなたへ
IT業界は迷宮です。
IT業界の正しい歩き方を知るには、まず最初にIT業界の地図が必要ですよ。
本記事の内容
どうも、陽翔(ヨーショウ)です。
本記事の信憑性を確認してもらうために簡単に自己紹介いたします。
- 私は外資系IT企業に所属するエンジニアです。エンジニア歴は20年ほど。
- SIer、SES、社内SEの経験あり。
- 大手Web自社サービス企業やITコンサルから内定獲得 ⇒ 辞退
- GAFAMのうち2社は最終選考まで進む ⇒ 不合格
- 参考までに現在は年収1200万円ほどを稼ぐ事が出来ています。
エンジニアを20年以上もやっていると相談をよく受けるんですが、だいたいこの3つに集約されます。
- 未経験からWebエンジニアになりたいが、プログラミングの勉強が進まず挫折しそう。
- 新卒で入社したSES企業で消耗している。何とか抜け出したい。
- 年収が上がらない。どうすれば上げる事ができるか。
自社サービス企業へ就職しWebエンジニアになりたいと考える人がとても多く、その為にはプログラミングスキルを身に付ける必要があり、昨今はプログラミングスクールが大盛況です。
その事自体は特に悪いとは思いませんが、実際かなりハードな戦いになっていると思います。
なぜなら、SIerやSES企業に所属するプログラミングの経験者(つまりプロのエンジニア)も自社サービス企業を狙っているからです。
それでもSNS界隈を見ていると未経験で自社サービス企業に内定をもらっている方は結構いるようです。
しかし、その影でプログラミングの勉強は始めたものの、エンジニアになる事を諦めている人はその何倍もいるはずです。
私がこのIT業界地図を書いた理由
- Webエンジニアを目指すにしても、IT業界へのエントリーポイントは1つではないから。
- 欲しい年収によっては、もしかしたら正解はWebエンジニアではないかもしれないから。
- キャリアや年収に悩むエンジニアはIT業界全体を俯瞰できたら解決する可能性が高いから。
- SESで消耗するエンジニアはも同様。IT業界全体を俯瞰できたら解決する可能性が高いから。
つまり、IT業界全体を地図で俯瞰して、現在地と目指すべき場所確認してからキャリアを積むべきだ、という考えからです。

現役エンジニアでもIT業界の構造を理解していない人が多いです。
つまり情報弱者。情弱はいつの時代も搾取対象。
誰かの養分になりたくなければ必読の記事です。
本記事を読み終えると、IT業界全体の構造をキャリア構築・年収アップの視点で俯瞰できるようになりますよ。
是非、最後までご覧ください。
IT業界の地図が今あなたに一番必要なものである事を理解する
いきなりですいませんが、いくつか質問させてもらいます。
- IT業界全体像をイメージできますか?
- 既にIT業界にいる場合、自分が全体像の中のどこにいるか分かりますか?
- どのポジションがだいたいどれくらいの年収レンジか分かりますか?
- あなたが到達したいポジションはどこであるか分かりますか?
現段階で分からなくても大丈夫です。現役エンジニアでも答えられない人は多いです。
この質問に回答するにはIT業界全体の地図が必要です。
年収やキャリア構築目線で考えた場合、IT業界は以下2つの軸で捉える必要があります。
- ビジネスモデルの軸
- 役割の軸
この2つの軸を掛け合わせたものが、私が【IT業界のポジション】と表現しているものです。
IT業界でのポジション = ビジネスモデル軸 × 役割軸
早速見てもらいます。
IT業界地図①(ビジネスモデル軸)
IT業界地図②(役割軸)
これを見ると自分の立ち位置、もしくは狙っていくポジションがイメージしやすいのではないでしょうか?
例えばですが、私のポジションはこうなります。
受託開発企業(SI) × プロジェクトマネージャー
SES企業で消耗しているケースはこんなポジションが多いです。
SES企業 × プログラマー
Webエンジニアの例です。
自社開発(Webサービス企業) × Webエンジニア
IT業界地図①(ビジネスモデル軸)を解説
IT業界地図①(ビジネスモデル軸)
IT業界地図①(ビジネスモデル軸)では所属する企業(ポジション)で、エンジニアを5種類に分けています。
(※派遣社員やフリーランスエンジニアを加え始めると地図が混乱するので、いったん除外しています。)
- ①受託開発企業(SI)
- ②受託開発企業(Web)
- ③SES企業
- ④自社開発企業(Webサービス)
- ⑤自社開発企業(非IT企業)
①受託開発企業(SI)
受託開発は大きな括りでは全てSIなのですが、敢えて以下2つに分けています。
エンジニアのキャリアを考える上で習得するスキルが異なるからです。
- ①受託開発企業(SI)
⇒ 従来の巨大な基幹系システム開発
- ②受託開発企業(Web)
⇒ WebサービスやコーポレートサイトなどWeb系のモダンな技術を中心使ったシステム開発
5種類の中で最も年収レンジは高く②役割軸との組み合わせで1000万以上も可能です。
①受託開発企業(SI)についてはこの記事で深堀りして解説しています。
-
【IT業界の歩き方/業界研究】IT業界の構造を理解【SI系】
続きを見る
②受託開発企業(Web)/④自社開発企業(Webサービス)
Webエンジニアが所属する企業の事ですね。
違いはここ。
②受託開発企業(Web)
⇒ BtoB
④自社開発企業(Webサービス)
⇒ BtoC


BtoBとBtoCの違いを意識していないと、入社後思っていたのと違う!ってなるので注意が必要です。
SIやITコンサルに比べると年収レンジは下がります。
ただし、Webサービスの中でもGAFAMなどのプラットフォーマーは別格です。1000万以上狙えます。
②受託開発企業(Web)についてはこの記事で深堀りして解説しています。
-
【IT業界の歩き方/業界研究】IT業界の構造を理解【Web系】
続きを見る
③SES企業
SNS界隈で忌み嫌われるSES企業についてです。確かにブラックなSES企業は存在します。
そして、ホワイトSES企業であっても、エンジニアとしてのスキルは早い段階で頭打ちとなります。
最終的にWebエンジニアを目指す人も、まずは技術的なハードルが低いSES(ホワイト)に入ってしまって、そこからスライドするというルートはありですよ。
年収面は低めです。ボリュームゾーンとしては300万台のエンジニアが多いと感じます。
ベテランでも600万の壁を越えるのはかなり厳しいイメージです。
ここで少し良い話をします。
IT業界地図①(ビジネスモデル軸)をよく見てもらうと分かるのですが、昨今はSIプロジェクトへのエンジニア派遣だけではありません。
②受託開発企業(Web)や④自社開発企業(Webサービス)へもエンジニア派遣するケースが増えているようです。
これはいい傾向だと思います。SESでもWeb系のスキルがあれば、Webサービス企業への転職はかなり現実的だと思います。


SES企業を経営している社長曰く、最近はWeb系企業からの受注が増えているようです。
③SES企業については、以下2記事で解説しています。
-
【IT業界の歩き方/業界研究】IT業界の構造を理解【SI系】
続きを見る
-
【エンジニアの年収格差】その会社にいる限り年収アップが無理な理由
続きを見る


ホワイトSESについては需要がありそうなので別途情報を発信する予定です。
⑤自社開発企業(非IT企業)
いわゆる社内SEといわれるエンジニアの事です。


私のエンジニアとしてのファーストキャリアは社内SEです。
実は未経験からのエントリーポイントとしてありです。
その企業の業界の年収レンジになります。たいがいIT業界よりも低いです。
ただし、金融業界の場合は平均年収がかなり高いですね。特に外資系金融機関の社内SEは別格で1000万円以上狙えます。(入る事が超困難)
⑤自社開発企業(非IT企業)についてはこの記事で深堀りして解説しています。
-
【IT業界の歩き方/業界研究】IT業界の構造を理解【社内SE】
続きを見る
IT業界地図②(役割軸)を解説
IT業界地図②(役割軸)
Web系
Webサービス企業の場合、全体の管理を行うプロジェクトマネージャーがいて、それ以外のメンバーは基本全員Webエンジニアです。
敢えて分けるとしたら、開発するサービスの方向性をビジネス目線の責任をもつのがWebディレクターです。
しかし、WebディレクターもWebエンジニアである事が殆どで自らもバリバリ開発しちゃいますね。
また、次で説明するSI系のような上流工程、下流工程で役割をカッチり分けたりはしません。Webエンジニアは設計から実装、テストまで全部をやる役割です。
いちいちエクセルで設計書を書くのではなくて、コードを書いて動く物を作ってしまうという、イメージですね。
SIはスキルレベルだけで年収が決まるわけではないのですが、Webエンジニアはわかりやすいと思います。
また、Web系のプロジェクトはSIに比べて規模が小さいので、Web系のプロジェクトマネージャーという役割は余り重視されていないというか、選任ではなくてWebディレクターやWebエンジニアが兼務している事、もしくは部門長などの管理職が兼任している事があるようです。
プロジェクトマネージャーを頂点とした、ピラミッド構造ではないんですね。
年収レンジはSIやITコンサルのプロジェクトマネージャーの方が上ですが、評価軸がスキル重視なので技術重視のエンジニアにとっては年収を上げていきやすい環境ではあります。
SI系
SI系はデリバリーサイドとセールスサイドに分けて説明します。
セールスサイド
案件の受注がミッションです。ITコンサルタントのうち、セールスをミッションとしている人はこっち側です。
企業のIT戦略や中期経営計画策定のコンサル案件から、巨額のシステム開発を受注するようなイメージです。
年収レンジは相当に高めです。凄腕の戦略コンサルは年収数千万の世界です。
デリバリーサイド
セールスサイドが受注したシステム開発案件を、予算・期間・品質を守ってリリーする事がミッションです。
プロジェクトマネージャーを頂点とした組織体系です。
ITコンサルという肩書きでもセールスではなく、デリバリーがミッションの場合はこちらに入ります。
実態としてはプロジェクトマネージャーであったり、要件定義をより専門的な立場から行う業務コンサルだったりします。
年収も図のとおりで、上流工程から下流工程に行くに従い年収レンジは下がっていきます。
まとめ:【IT業界地図】知らないと搾取されるよ【現在地と目的地はどこ?】
IT業界の地図の2軸について説明しました。
ここで必ずやって頂きたい事があります。
あなたの現在地を【①ビジネスモデル軸 × ②役割軸】で把握してください。


そして、もし目的地が決まっているのであれば、目的地も【①ビジネスモデル軸 × ②役割軸】で改めて認識してみてください。
まだ、目的地が明確ではない人は、今後決めていければいいです。
IT業界の全体を俯瞰できれば、どこに行きたいか、どこに行くべきかは今までよりもはっきりしてくるはずです。
今後決める必要がある事を記載しておきます。
- 最終的に稼ぎたい年収を決める
- その年収を稼げるポジションの中から目的地(ポジション)を選ぶ
- 現在地から目的地までのルートを決める
参考までに私がエンジニアになってから現在のポジションまでのルートと年収イメージをお伝えしておきます。
是非、あなたの目的地やルートを決める際の参考にして頂ければと思っています。
- 自社開発企業(非IT企業) × PG : 年収約170万(アルバイト)
- 自社開発企業(非IT企業) × PG : 年収350万(派遣社員)
- SES企業 × SE : 年収400万(派遣社員)
- 自社開発企業(非IT企業) × SE : 年収500万(フリーランス)
- 受託開発企業(SI) × SE : 年収550万(ベンチャー)
- 受託開発企業(SI) × PL : 年収600~750万(ベンチャー)
- 受託開発企業(SI) × PM : 年収850万(ベンチャー)
- 受託開発企業(SI) × PL/PM : 年収750万(中堅SIer)
- 受託開発企業(SI) × PM : 年収1000万(大手外資系IT)
- 受託開発企業(SI) × PM : 年収1100万(大手外資系IT)
※PG:プログラマー、SE:システムエンジニア、PL:プロジェクトリーダー、PM:プロジェクトマネージャー
本記事はここで終了となります。


目的地とそこまでのルートの決め方については、稼ぎたい年収別に個別記事に書きますので是非、読んでいただきたいです。
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また、ここで予告している年収別の個別記事も含めて、記事更新はツイッターで通知いたします。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。