ITエンジニアになりたいと思っているあなたへ
日本のITエンジニアの大半はSI(システム・インテグレーション)に関わる事になります。
SIには闇も多いのでITエンジニアを目指すなら絶対に知っておく必要があります。
なんか偉そうですみません。これはIT業界に入ったばかりで何も知らなかった20年前の自分に向けてのアドバイスです。これからIT業界に入りたいと思っている人は必読の記事となります。
どうも、陽翔(@engineer_yosho)です。
大学を3年で中退してITエンジニアになり20数年が経ちました。今は外資系ITベンダーでプロマネをやっていて、年収は1000万円を越える事ができました。
しかし、20数年前の当時の私はIT業界の事が良く分からず、教えてくれる人もいなかったので、キャリアアップという意味で遠回りしました。また、大学を中退した事もありそもそもIT業界への入り方も時給900円という底辺から入ってしまいました。
もちろん、今はでIT業界がどういうものかよく理解しています。この記事で20年前の私のように何も分からずIT業界で迷子になる人が1人でも減れば良いと思っています。

- 【IT業界の歩き方/業界研究】IT業界の構造を理解
- SI系
- Web系
- 社内SE
是非、最後までお付き合いください。
さあ、どうぞ
【IT業界の歩き方/業界研究】IT業界の構造を理解【SI系】
SIerと呼ばれるプライム・コントラクター(一次請け企業)を頂点とするピラミッド構造の世界です。
SI系は日本独自の構造です。理由は日本の雇用の話に関連します。後で解説します。因みに、ITコンサルも実態はSI系と同じ構造となっています。
ここ10年くらいでWeb系も台頭してきましたが、それでも日本のITは殆どがSI系(含、ITコンサル)です。
特に意識せずにIT業界に入ると、このSI系に入る確率が高いです。
SI系の特徴
因みに、皆さんSIやSESと聞いてどういうイメージをもっていますでしょうか?
Web系に比べると余り良いイメージは持っていないのではないでしょうか。
まずは、そのあたりSIの特徴を紐解いていきましょう。
ビジネスモデル
- クライアント企業がシステム開発・保守をSIerへ丸投げできる仕組み
- クライアント企業が社内業務で使う基幹系という巨大システムを開発する場合はほぼSI
- SIではその企業独自のシステムをオーダーメードでゼロから開発する
- BtoBのビジネスモデルが基本
- 数千万規模から数百億円規模まで大小さまざまなプロジェクトが存在
- エンジニア調達の為に建築業界と同じようなピラミッド構造になっている
エンジニアが気になるポイント
- 伝統的なウォーターフォールでの開発
- SoR(System Of Records)なレガシーな考え方
- リスク回避の為、枯れた技術を好む(クライアントが)
- とは言え、最近はWebアプリケーションが普通になった
- 汎用機ではなくてUNIX、Linux、Windowsも増えてきた
- SI系のエンジニアは実はそこまで高いスキルは求められない
- ソースコード以上に大量のドキュメントを作成する
- プロジェクトが数年単位と非常に長い
SI系が抱える闇
- わがままで理不尽な”お客様”と嫌な思いしながら付き合う必要あり
- あの手この手を使って”お客様”をコントロールしないとプロジェクトが進まない
- 技術力よりも人間系スキルが必要で、”お客様”対応でめちゃ疲弊して嫌になる
- ただ金を払っているというだけでこんなに傲慢になれる人間が存在する事を知れる
- めちゃ残業で追い込んで、泊まり込みなど普通
- でも、そのうち誰かが倒れる
SI系技術力
SIでは使われる技術がレガシー(古い)で、スキルアップが難しいという事もひとつの理由なのかなと思います。
こちらの記事になぜSIのエンジニアのスキルが高くないのかをまとめています。是非読んでみてください。
-
SIerで必要な技術力レベルについて【エンジニアを目指す人向け】
続きを見る
SIの多重下請け構造の闇
現在、SNS界隈ではSESを忌み嫌う風潮が強いと感じます。
理由はSESの特徴にあります。
ここで、ちょっと注意というかちゃんと理解した方が良いポイントなのですが、SESというのは契約形態の事で企業の種類を指す言葉ではありません。
SESはシステム・エンジニアリング・サービスの頭文字をとったもので、法律上は準委任契約に類する契約です。
元請企業がエンジニアを集める為に下請け企業と結ぶ事の多い契約でざっくり以下の特徴があります。
- 成果物責任を伴わない、エンジニアを人月単位で派遣する契約
- 基本は客先常駐
- 2次請けは3次請けに再委託、3次請けは4次請けに再々委託・・・続く
SIオワコン説
因みに、ずっと前から「SIオワコン説」が言われ続けていますが、日本では終わる事ができません。
理由は超明確です。
日本企業は雇用契約の問題で従業員を簡単に解雇できない
↓
システム構築のプロジェクトが立ち上がって大量のエンジニアが必要になった場合
↓
必要なだけエンジニアが雇えたとして、プロジェクトが終わっても解雇できない
↓
自社でエンジニアを抱える事は不可能
↓
SIerに全部任せるしかない
↓
SIという仕組みは日本では必須
因みに欧米の企業では日本よりも解雇が簡単なので(契約上の詳しい事はわかりませんが)、自社でエンジニアを雇用します。プロジェクトが終わったら、保守に必要な人数を残して解雇します。
欧米では日本よりも転職が当たり前なので、プロジェクトが終わったから、次にいこうという感覚に近いのかもしれません。
だから、欧米ではSIerというのはメジャーではなくて、エンジニア人口の80%はユーザー企業に所属しているそうです。日本とは大きく構造が異なります。
賛否両論あり、オワコン説も唱えられるSIですが、結論、日本では終わる事はできません。
SIエンジニアの年収
さて、ここからが本題ですね。
SI系に所属するエンジニアの年収をポジションと共に説明します。
最初にひとこと。
人気面ではWeb系に劣りますが、年収面では勝っていますよ。
ただし、条件つきです。
先ほどSIはピラミッド構造になっていると言いましたが、ピラミッド構造はそのまま収入構造になっています。つまりSI系で高い収入を得たければ、ピラミッドの頂点を目指さなくてはいけません。
エンジニアとして成り上がる王道パターンは、未経験でピラミッドの2段目(2次請け)に食い込み、経験を積んで1段目(1次請け)に上がっていくというものです。プライムと下請けでは相当な格差があります。それは下位になればなるほど更に格差が広がります。
IT業界では、ひとりのエンジニアが1ヶ月働く作業量を1人月(にんげつ)と表現します。
SIのピラミッド構造を下っていくと、上位のベンダーにピンはねされて、同じ作業なのに単価が安くなっていきます。
クライアント
↓ 1人月 120万 (請負契約)
プライム
↓ 1人月 80万 (SES契約)
2次請け
↓ 1人月 65万 (SES契約)
3次請け
↓ 1人月 50万 (SES契約)
4次請け
↓ 1人月 40万 (SES契約)
5次請け
これがSI系の年収ポジションの構造そのものです。
因みに、当たり前ですがこの単価がそのままエンジニアの給料になるわけではないです。企業の取り分もあるので、エンジニア個人に支払われる給料は当然もっと低くなります。
重要なので突っ込んで説明します。
プライム企業(一次請け企業=SIer)
まず、プライムとそれ以外で大きな隔たりがあります。先ほどの単価がピンはねされる様子を見れば想像に難くないと思います。
プライムのトップエンジニアやプロジェクトマネージャーは、かなり高い年収を得ています。1000万プレイヤーも割りと普通にいます。ただし、何度も言いますが、SI系で高い年収を得たければ、プライムである事は絶対です。
例えばプロマネになり平均的なプロジェクトを回せるレベルの年収レンジで分類してみました。
これまで転職エージェントさんから聞いてきた情報、実際に働く人から聞いた情報を私が分類したものなので、その点はご了承ください。ただ、わりと真実に近いと思います。
■1000万以上
- 外資系ITベンダー/コンサルティングファーム
- ごく一部のSIer(NRIなど)
■800万~1000万くらい
- 日経コンサルティングファーム
- 年収高めの大手SIer(富士通、NEC、日立、新日鉄住金ソリューションズなど)
- 年収高めの独立系ITベンダー
■600万~800万くらい
- 一般的な大手SIer(NTTデータ、日本ユニシス、伊藤忠テクノソリューションズなど)
- 金融機関や大手ユーザー企業のシステム子会社
- 一般的な独立系ITベンダー
ポジションを間違えると欲しい年収はもらえないという事になります。
もし、年収1000万を狙うのであれば、例えばNRIに入るのが確実です。現在、所属している企業で頑張っても難しいと思いますが、市場価値を上げてNRIへ転職する事でその道が開けます。
2次請け以下
サブコントラクター(サブコン)と言ったりもします。そもそもプロマネのポジションがほぼ無いので、エンジニアとしての年収で言うと、ざっくりこんな感じかなと。
大手SIerの関連会社・子会社の中で一部の企業はちょっと年収高めだったります。なので未経験で入り込むには意外に狙い目だったりします。ただし、関連会社の全てがそうではないので気をつけてください。
■400万~600万
- 大手SIerの関連会社・子会社
■300万~500万
- 中小の独立系ITベンダー(ソフトハウス?)
【IT業界の歩き方/業界研究】IT業界の構造を理解【SI系】はこれで終わりとなります。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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